植木鉢ポンプ設置方式とは?
「植木鉢ポンプ設置方式」とはビオトープの底に植木鉢を沈めて、その中にポンプを設置するものです。ビオトープの水温上昇を抑えるほか、フィルターの掃除回数も減らすことができます。
植木鉢ポンプ設置方式について
ビオトープは、メンテナンスフリーのはずが、何かと世話することがたくさんありました。我が家のビオトープは、大きな亀などがいるので餌をやる必要があるので糞の負荷が大きくなり、フィルターの掃除を年に何度も行わなければなりません。
ビオトープの世話と言ってもフィルター掃除と餌やりぐらいしかすることはないのですが、フィルター掃除の頻度をできる限り少なくするために、ポンプの設置方法などについて試行錯誤を繰り返してきました。
ここに「植木鉢ポンプ設置方式」と名付けた現在の最終結論についてまとめます。
ポンプはビオトープの底の水を汲み上げるもの
ポンプの設置位置は一番深い場所としたものです。ポンプの水は一番上に上げるため、そうすることでビオトープの水が徐々に入れ替わるからです。当然です。
しかし、夏の暑いときは、ビオトープの底の一番冷たい水を汲み上げて、これを滝に送るということを繰り返しているとわざわざ冷たい水を滝で温めている形になり、ビオトープの水温が徐々に上がっていっているような負の循環が生まれて、徐々にビオトープ全体の水温が上がってしまいます。
水面の水をポンプで汲み上げて滝に送る
ビオトープの水温を上げない(ビオトープの底の冷たい水の水温を上げない)ためには、水面の水を滝に送ればいいのです。
しかし、どうやって、それを実現するのか?
そこで考えた方法が、今回詳しく紹介する「植木鉢ポンプ設置方式」です。
「植木鉢ポンプ設置方式」とは上の図のようにビオトープの底に植木鉢を沈めて、その中にポンプを設置するものです。
「植木鉢ポンプ設置方式」の具体的な設置方法です。
- ポンプを虫かごに入れて植木鉢の底に設置します
- ポンプの吐出口は植木鉢の底から配管に繋げます
- 虫かごを包むようにフィルターを設置します
- 虫かごが動かないように植木鉢との隙間に石などを詰めます(フィルターや牡蠣殻などでもいい)
- フィルターを押さえるために上に網を載せます
- 網の上にオモリ(石)を載せます
できる限り植木鉢の底からは水を吸わないようするので、深い部分は酸素量が減るのではないかと気にならないでもないですが、植木鉢の底からも多少は水を吸い込んでいるようなので、問題は発生していません。
我が家のビオトープはこの方法で、この夏も乗り切りました。水温は30度までしか上がっていません。水温を上げないために、日陰を作ることなど工夫する点は多いですが、この「植木鉢ポンプ設置方式」は有効な手段と考えています。
冬にポンプを止めてもいいのか?
冬は生き物の活動が少ないので、ポンプを止めても問題ないと思い、ひと冬の間ポンプを止めたことがあります。
しかし、翌春のビオトープの生き物はかなり減っていました。ビオトープの酸素濃度が低い状態になっていたのでしょう。ポンプは冬こそ廻す必要があると思いました。その後、冬でもポンプは廻し続けています。
余談ながら、冬の酸欠状態でアメリカザリガニは死滅したと思われます。故意にこの方法で死滅させることは難しいと思いますが、たまたまそういうことになりました。しめしめ。
フィルターの掃除は必要
「植木鉢ポンプ設置方式」は、水を吐出する前にフィルターを通過させます。大きな植木鉢であれば、フィルターの量を増やすことができます。
ポンプの吐出量が少なくなってきたらフィルターの掃除が必要です。月曜日に吐出量が少ないと感じても、週末にポンプが詰まって水が流れていないこともあります。
水が止まると酸素を供給できなくなるので、ビオトープの生態系に影響を与えます。ポンプにも大きな負荷が掛かるので壊れる可能性もあります。フィルターの掃除は早めにやっておきましょう。
8月はフィルターが汚れにくい?
寒いときはもちろんですが、暑すぎるときもビオトープのフィルターはあまり汚れないようです。微生物でさえも、程よい暖かさの方が活動が活発なようです。そのため、8月よりも9月の方がフィルターが詰まってポンプの水の出が悪くなってきます。
といっても、水質の劣化は水温に比例しているように思います。これは水中の微生物によるものだと思っていましたが、フィルターの微生物と種類が違うのかもしれません。
写真左のつつじは虫に食われて秋のような雰囲気になっていますが、まだまだ晩夏の我が家のビオトープです。写真では日陰なのであまり暑さを感じませんね。
フィルターの清掃
ポンプの取り出し
徐々に水草や落ち葉がポンプに寄ってきます。水を吸い込む以上は、これを防ぐことはできません。
ポンプの取り出しにあたって、まずはポンプの電源を切りましょう。水中ポンプは水中で動かす前提で放熱計算がなされています。空気中でポンプを廻すと故障するおそれがあります。
フィルターの上に置いている網です。この上に重しの石を載せてフィルターの浮き上がりを抑えます。
この網は100均で購入したケーキクーラーという商品です。焼きたてのケーキを載せて冷やす商品です。
ステンレス製ということは重要です。最初は鉄製のバーベキュー網を使っていたのですが、すぐに錆びて使い物になりませんでした。もう少し大きなものが欲しいですが、我が家の植木鉢の大きさにちょうどハマるものは100均には売っていません。
網の上には、こんな感じに石を載せて植木鉢の中のフィルターを押さえます。
植木鉢に詰めたフィルターは水平にならないため、丸い石では転がってしまいます。そのため平べったい石を探してきました。これならあまりずれません。大きい石では水の入口を塞ぐし、小さな石では重しにならないしで選定はなかなか難しです。
フィルターを取り出しました。購入直後は真っ白なフィルターでしたが、徐々に茶色から黒々と変色し徐々に平べったくなってきます。
フィルターは色々とこだわりを持って様々なものを利用している方がいますが、私はあまり気にしていません。このタイプのフィルターが一番安くて便利だと思います。掃除は少し大変ですけど。
虫かごを取り出しました。
この虫かごも100均で購入したものです。もう少し小さいものがいいし、できれば窓になっている部分が網であれば言うことないのですが。
虫かごの写真右側の格子の一部を電源コードを出すために、ハサミで切っています。ちょっとした工夫です。
虫かごの底の部分は、配管と繋げるためにポンプの吐出口を突き出しています。滝に繋がる配管の方が直径がやや大きいので、ポンプの吐出口はビニールホースを挿してから配管に挿しています。
最初は、ビニールホースにさらにビニールテープを巻いて配管にピッタリ合うようにしていたのですが、固くなって配管から取り外しにくくなったことがありました。そのため、最近はビニールテープを巻いていません。
虫かごを開けたところです。ポンプの吸込口(左側)の隙間は枯れ葉などでかなりふさがっています。この状態では、揚水量が減っても当然でしょう。
虫かごの網の隙間から入るにしては大きな葉や水草の根などが絡まっています。葉などはうまいこと網の隙間を入ってきたのでしょう。たまたまなんでしょうけど、もっと虫かごをフィルターで包むようにすればいいと思います。
ポンプの吸込口をバラしました。ポンプ内のフィルターは泥と水草の根(?)で水が通るとは思えない状態です。
このポンプの吸込口は、バネにフィルターを巻き付けてから筒に突っ込む形でセットします。水は写真の吸込口の筒の真ん中からポンプに入って、右側の緑のビニールホースから揚水される仕組みです。そのため、ばねの中は空洞になっているので、フィルターがそれなりにゴミで詰まったとしても揚水量は減りにくくなっています。限度はありますが。
ちなみに、このポンプは、プティオのBX-100EXです。かなりゴミに強い商品です。お薦めします。
ポンプの掃除
ポンプは、フィルター以外は、古歯ブラシを使って、さーっと洗います。すぐに汚れは落ちます。洗剤などは使ってはいけません。洗剤は生態系に悪い影響が出ます。
フィルターは、バケツの中で大きな汚れを取りつつ、何度も水洗いすればきれいになります。何度絞ってもこの小さいフィルターから茶色い水が出てきますが、徐々に薄くなってきます。軽い気持ちで5回も繰り返せば十分でしょう。洗わないよりマシと思って気楽にやりましょう。
フィルターの掃除
ビオトープから取り出したフィルターです。汚れている部分ときれいな部分と大きな違いがあります。これは植木鉢への押し込み方の違いによって水が通ってないところはあまり汚れていないと考えられます。
写真では伝わりませんが、べちょーっとした感じです。ビオトープから引き上げるときは、泥の中に入っていたようなイメージです。
フィルターの掃除は、バケツの中で何度も絞っては洗うを繰り返します。シャワーでそそいできれいになったら終わります。きれいになったという感覚になりませんが、絞ったときの水の色が最初よりもマシになったら終わります。
この泥は、微生物の塊と言っても過言ではありません。あまりフィルターをきれいにしすぎると浄化性能が落ちます。といっても、気にしなくてもどんなに絞ったところで微生物がいなくなることはありませんので、心配は無用です。
このフィルターが浄化にもっとも寄与している要ですので、このフィルターは絶対に洗剤などで洗ってはいけません。この微生物たちを大事にすればビオトープの水質を保つことができます。このフィルターに適度な有機物と酸素を送ってやっていることで、その有機物が処理されるわけです。
洗浄後のフィルターです。
見た目に変わったと思いますが、写真ではあんまりその差が分かりづらいですね・・・
実際は、ずいぶんきれいになっています。
植木鉢にポンプとフィルターを戻す
植木鉢の中にポンプを戻し、セッティングを完了しました。
ポンプやフィルターを掃除した直後の水は水は濁っていますが、数時間後にはきれいな水が流れるようになります。微生物はすごい力を持っています。
ビオトープに流れ込む滝の様子です。
ポンプから送られた水はこの滝からビオトープに流れ込むようにしています。
この動画では、フィルターを掃除した直後ですので、茶色い水が流れ出てきますが、徐々に透明な水に変わっていきます。
苔がいい感じに生え揃ってきました。
まとめ
今回は我が家のビオトープで実施している「植木鉢ポンプ方式」によるポンプ設置方法を中心にのフィルターの掃除方法についてまとめましたが、いかがだったでしょうか。
夏の庭のビオトープは水温上昇との戦いと言っても過言ではありません。いかに水温上昇を抑えるかが生態系の維持に関わります。
ビオトープは、水温とともに水質も重要です。ビオトープは放ったらかしが基本とはいえ、フィルターの掃除を年に何回か行わなければなりません。ビオトープの世話と言ってもフィルター掃除ぐらいしかすることはないのですが、フィルター掃除の頻度をできる限り少なくするために、ポンプの設置方法について試行錯誤を繰り返してきました。「植木鉢ポンプ方式」によってその答えの一つを見つけたような気がします。
ビオトープは真の大人の遊びです。気長に楽しみましょう。
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