人生はじめての裁判の傍聴(窃盗の場合)

雑多

裁判への道

予習

私の知人が置き引きをされました。

刑事裁判ですので、原告は検察で被告は容疑者です。

そのため、知人はただの傍聴人であるわけですが、その裁判があるということで、傍聴してきました。

民主主義国家に生まれて

いままで私は、民主主義国家に生まれながら裁判を傍聴したことがありません。

将来、日本がとんでもない体制になったときに、民主国家に生きていながら、裁判というものがどのようなものか孫に自慢するためにも、聞いておかなければならないと常々思っていたところです。

そういう意味では、渡りに船です。

容疑の概要

とあるスーパーで知人が買い物の支払いをした後に、荷造りをしておりました。

その知人はちょっと変わった方でもあるのですが、天才と紙一重だと私が理解しているような方です。

買い物カートに、紙袋を入れたままにしておいたところ、買い物カートごと持っていかれたという容疑なのです。

しかも、買い物カートには、買い物した商品はもちろんですが、商品券10万円を入れていたということで、ただの置き引きというか(まあ、置き引きなんですけど)金額が大きいんですね。

その後、被告は逮捕されたのですが、商品券は見つかっていないということなのです。

また、被告は、立派な方だったようですが、高齢で置き引きの前科もあるし認知症の症状もあるということでした。

しかし、犯行の一部始終を防犯カメラに写っているにも関わらず、これまで被告は犯行を認めないので困ったものだという感じで裁判が進んでいるとのことです。

 

ちなみに、この日は裁判3日目でした。

裁判は次から次にあるらしく、1時間ほど審理をすると日を改めて続きをするという流れのようです。

神戸地方裁判所

圧倒されるたたずまい

早めに行こうと家を出たはいいが、少し早すぎたので湊川神社で少々散歩してから神戸地方裁判所に向かいました。

場所は、JR神戸駅と地下鉄大倉山駅の中間というところです。

神戸地方裁判所は。正面から見据えると荘厳さがさらに増しているよな気がします。

建物の2階までは古い建物そのまま(というかハリボテとして残しているんだろうけど)で、3階以上はガラス張りの近代的な建物です。

新旧融合というか太陽が反射したら眩しいんじゃないかなあとか、3階以上は温室のように暑いんじゃないかなあとかいろんな心配を勝手にしてしまいます。

駐車場もありました。

有料かどうかは調べていません。

まあ、有料でしょうね。

注意事項の看板です。

一番大きく書いている「禁煙」が最も重要な注意事項でしょうか。

交通裁判所や競売所は別館です。

今回の裁判は本館でした。

 

建物に入ると、すぐにボディーチェックや荷物のチェックが行われます。

空港のイメージです。

裁判所には、困ったお客さん(?)が多いのかもしれません。

しかし、お客さんは空港に比べると断然少ないので、裁判所内は閑散としているというか静かな雰囲気です。

チェックが終わり、階段を上がると玄関ロビーが広がっています。

重厚な建物の吹き抜けは写真を撮りたくなるほどです。

しかし、建物内は残念ながら撮影禁止でした。

上の写真は裁判所ではないのであしからず。

私が目指す法廷は、2階です。

ちなみに、自動販売機やベンチはあるので、建物内は特に緊張するというものではありません。

記念スタンプもありました。

思わず、押しちゃいました。観光地気分です!

裁判室

審理はわずか5人で進められました。

裁判長、原告(検察)、被告、弁護人、書記(ほんとうは人数に入らないと思う。)です。

部屋内は重苦しい雰囲気で、息をするのもはばかられるように重い。

しかし、今日の裁判は凶悪犯罪でもなく、どっちかというと軽い方だと思います。

それでもこういう雰囲気であれば、大犯罪の法廷は大変な雰囲気であろうと想像します。

裁判員という人たちがいるんだろうと思って来ましたが、この手の裁判には裁判員はいないようです。

将来、裁判員に任命されたときの予習も兼ねていたので、ある意味残念です。

 

ちなみに、コロナ禍のため病徴席は一つおきに座れないようになっていました。

といっても、この日の傍聴は、わずか7人でした。

内訳は以下のとおり。

知人 1人
知人の応援団 4人
検察の見習い? 1人
裁判マニア? 1人
合計 7人

(推定)裁判マニアは、裁判後に我々に「あの被告はあれだけ証拠があがっているのに、どういう理屈で認めないんやろか?」と話しかけていた明るい感じのマニアだった。

(推定)検察見習いは、裁判前に検察官と話をしていたので、その関係者であることはまちがいなさそうである。

裁判はこんな感じで進んでいく

いきなり却下!

審理が始まった。

しかし、証人喚問がいきなり却下されたのである。

実は、裁判が思うように進まないからか原告(検察)から知人(被害者)に証言してもらうことになっていたのだ。

その証言の応援団として私に声が掛かっていたのだ。

今日の最大の見せ場だったのに残念である。

裁判官もこんな小さな犯罪はさっさと終わらせたいのかもしれない。

拍子抜けしたところで、審理が進む。

検察の立証

検察官は、厳しい(厳しそうに見えただけ?)女性だった。

検察官は、防犯カメラに写ってたことを淡々と主張する。

内容は、買い物カートまるごとを置き引きした様子である。

何時何分にかばんを右手に持ち替えたとか、何時何分に被害者の方を惣菜コーナーから見ていたとか事細かい内容をいつやったかも含めて分単位で説明する。

しかし、ものすごい早口ですべてを聞き取ることは至難の業。

傍聴人以外は資料があるらしく、それを読んでいるようなので問題はなさそうである。

 

検察の事実を細かく積み立てる手法はかなり勉強になりました。

主張する内容は、すべて事実だもんなあ。

否定しようがない気がするなあ。

弁護人の主張

10年前から万引きを繰り返している。

認知症やうつ病の診断もある。

スモークチーズ(買い物カートに入っていた)が被告の冷蔵庫から見つかっているが、盗んだものと異なるかもしれない。

うつ病で断食をしていたころなので、チーズを盗むことはありえない。

商品券が見つかっていないので盗んだと断定できない。

換金しちゃったのかなあ・・・?

警察も換金の証拠までは見つけていないようだ。

てな感じで、反論するのだが、「盗んでいないかもしれない」という主張がメインのため、反論になっていないように聞こえる。

 

それ以前に、なんだか頼んなさそうな弁護人である。

原告の主張のときに、「異議あり!」と挙手したのはいいが、裁判官から「法第○条第●項に基づく異議ですか?それとも■項に基づく異議ですか?」と聞かれて固まっていた。

「この条項はこの世界では常識なんやで?」という空気が裁判官から漂っていた。

ちなみに、弁護人は、数分の沈黙の後「撤回します・・・」で異議を終えてしまった。

この日のクライマックスはこのときだったような気がする。

 

その後も、文書を読みながらの反論をしているが、話をしながらその文書の修正は12か所に及ぶ。

いい加減な弁護人だなあとしか感じなかった。

この弁護は、ある意味すごいなあと思った。

弁護人の頼りなさに驚くとともに、こんな人にあたったら嫌だなあと思いました。

被告にも同情しますね。

被告の様子

反省の色を感じられないとは、検察の主張である。

これまでの審理でも「被害者は、10万円もの大金を買い物カートに入れるなどせずにもっと大事に持っていてほしい」と言ってのけたとのこと。

検察の立証でもプルプル首を振ったりしているほか、袖のボタンを触ったり、立証を聞いているのか裁判に慣れちゃったのか分からない感じ。

 

ちなみに、私が入廷したときに頭を下げられたのだが、知り合いかと思った。

当然、知り合いではなかったのだが。

審理終了

なんだかんだで、

原告と弁護人の主張を終え、最後に被告は神妙に語った。

「被害者にお詫びします・・・窃盗する気持ちはなかった・・・・」

声が小さくて聞きづらい。

次回の審理のスケジュール調整

裁判官は、「次の審理はいつにしますかね?」と原告と弁護人と調整に入った。

被害者はそっちのけで、ビジネスライクに調整が進む。

2,3日の候補を上げた後に、裁判官が日時を決定した。

知人はその日は出張の日だから、日を変えて欲しいと検察に伝えるらしいが、話は通るのだろうか?

まとめ

応援団の一人は、「楽しかった。また、聞きに来たい!浮気裁判とかきっと面白いはずだから、絶対来てみよう!」と張り切っていた。

私もわずか1時間とはいえ、十分に楽しむことができた。

しかも、無料だからね。

格安のレジャーと言えなくもない。

今日は仕事する気がないなあというときに、昼から休んで裁判を覗くなんていう有意義な日もあっていいかもしれない。

次に行ってもっと面白ければ、再度レポートしようと思います。

判決

後日、傍聴できませんでしたが、判決が下りました。

スーパー置き引きに無罪判決 80歳男性被告に神戸地裁 「故意の証拠ない」(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
 神戸市内のスーパーで、約10万円分の商品券入りの紙袋を置き引きしたとして窃盗罪に問われた同市内の自営業の男性(80)に対し、神戸地裁(岡本康博裁判官)は22日、「故意に持ち去ったと推認できる証拠は

なんと無罪!!!

裁判は分からないものです。

あんな弁護士だったのですが、実はやり手だったのでしょうか?

いろいろあったのでしょうけど、裁判は奥が深いことが分かりました。

タイトルとURLをコピーしました